関西医科大学 形成外科学講座

Kansai Medical University, Dept. of Plastic and Reconstructive Surgery

頭頸部再建

頭頸部癌の切除手術(上顎、下顎、舌、口腔、咽頭などの悪性腫瘍切除手術)では、腫瘍の大きさにより広範囲の組織欠損が生じることがあります。頭頸部には、食事、会話、呼吸に関連する重要な臓器があり、その機能的喪失だけでなく著しい醜形により、日常生活や社会活動も大幅に制限されることがあります。生じた欠損部に他部位からの様々な組織を移植して修復するのが、頭頸部再建外科です。
当科でも耳鼻咽喉科・頭頸部外科と連携し舌がん、上顎がんなど悪性腫瘍の切除後の機能・整容的再建といった根治的な治療と整容的結果を両立した診療を積極的に進めています。その再建外科手技には、近接する組織を移動させる有茎組織移植と、遠隔部から切り離した組織を血管吻合し再接着させる遊離組織移植とがあります。頭頸部組織欠損の再建には古くより胸部の皮膚や筋肉を用いる大胸筋皮弁など有茎組織移植が形成外科手技のひとつとして大きな役割を果たしてきた歴史があります。一方で遊離組織移植は、マイクロサージャリ―の技術を用いて直径1mm程度の微小血管の吻合を顕微鏡下で行い、移植組織に血流を再開させる手術手技で、1976年 Bakerらが頭頸部癌の治療に初めて遊離組織移植術を行ったとされています。その後、最近の30年では集学的治療(外科治療、放射線、化学療法)や喉頭温存療法、頸部リンパ節郭清の改変など頭頸部癌治療が進歩し、それに呼応するように、より機能的な再建が目指されるようになっています。
当科でもマイクロサージャリ―の技術を用いた遊離組織移植を積極的に頭頸部がん手術に適応しています。頻用する遊離皮弁には、前腕皮弁、腹直筋皮弁、前外側大腿皮弁、遊離空腸弁、腓骨皮弁などがあり、平均で週に1件、年間約40件の遊離組織移植による頭頸部再建を行っています。
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